コンサルタントの眼

第18回 お約束を守らないお人への対応-1

~ 波動的相互推進力 ~

by 石川 恵美


 紫陽花が昨年と変わらず咲き始めた頃に、自粛解除の兆しが見え始め、漸く気の流れも動きが見えてまいりました。コロナの影響を受けて、これまでとは異なる常態、流れに対応することは、全人類に対して出された共通の課題のように思われます。本当に心から、すべての事が善きことにつながることをお祈りいたしております。

さて、”おおよその暗黙の了解”下において流れていた業務は、突然テレワーク体制などの業務変化に伴い、大きな変化を受けいれざる負えなくなりました。これまでの常態での問題点と変化による問題点が重なり(稀に打ち消しあって自然消滅してくれることもありますが)、やはり、お約束を守らないお人への対応において、「問題点はどこから来るのか?」から目を逸らさない方がよいかと拝察いたします。
というのは、問題点を抱え続けていくことに、あなたさまご自身のお心が疲弊していくからです。
スポーツや趣味、気の合う仲間との会話などで、ストレス解消することはとても大切なことですが、気が晴れたと感じても、心の奥底にまだ小さな不安が残っていることが多く、つまり、客観性の高い方ほどご自身がまた向き合わなくてはいけない未来に対して、完全に解放されてはいない現実を認識してしまい、波動が落ちてしまいます。
例えば、ご自身が対処できる立場、権限、裁量などの条件がそろっていないために、問題解決をあきらめているケースは多々ありますが、「今、解決できる条件がそろっていない」ことと、「自分には解決できないから放置」すること、の切り口では、その後の展開、動きがあった場合に、良い結果に導ける可能性が、格段に違うのです。

会議でのアクションリストを実施してこない、議事録を読まない、アジェンダを見ていない、締切を守らない、納品物を確認しない、指示を明文化しない、責任者をたてない、依頼した内容を確認しない、周囲が約束を守っていることも認識しない、指摘しても直らない、直さない、そして(たいてい)人の話を聞かない等、ビジネス上のルール違反はいろいろあり、お約束を守らないお人は本当に困ったものですね。(メモを取るとか、復唱するなどは、ビジネスの基本として前提条件ですよね)
業務上は、責務がありますから、実質業務上の約束を守らない事は、業務上命令違反となりますが、組織に明確な罰則がない限り、ゆるゆると約束反故を繰り返されてしまいます。
本来は、職務管理者が規約、罰則やペナルティを明記して設けるべきですが、 ご自身の裁量外である場合(つまり、ご自身の直属の部下でない限り)には、それ以外の戦略で臨むしかありません。

【守っていない事への認識】
約束を守らない事を常態化している人は、守っていない事に慣れきってしまい、次第に罪悪感も反省も無くなっていきます。意を決して、「約束守ってくださいね」と通知したのに対し、たいてい笑顔で応対されます、拍子抜けしてこちらが驚きますが、驚いてちゃダメ。この状態では、その後、何があっても自分の責任ではない、という意識が中心となり、「注意しなかった周囲が悪い」となる可能性が高いため、早いうちに、さりげなく、「約束守りましょうねー」と、
さりげなく、さりげなくさりげなく。(ここで、ケンカしちゃダメ)

【守らない人には、守らない理由がある】
原因があるから、結果として出てくるのですね、全く理解できない、許容できない理由であっても、守らない人には、守らない理由があるのです。守らない=守れない理由があることを探るのですが、ここで、感情を入れてしまうと、大洪水の流れに巻き込まれてしまうようなもの。愉快な作業ではないのですが、(株)アトリエ イシカワでは、約束を守らない人の原因、思考を以下の8つのカテゴリーに分類してみます。

①名誉:この約束を守る事が、ご本人の名誉や自尊心に触れてしまう事なのかな?ご本人としては、「自分の名誉や自尊心にふさわしくない」「こんなことやると、周囲から低く見られて出世や名声に悪影響するのでは?」という思考が働いていないでしょうか?

②愛情 :そもそも、ご本人としては、プロジェクトや所属する組織、目標に共感していないから、約束を守る意義が感じられないのでしょうか?本人の中での優先順位は、随分と低い位置に置かれていそうだし、この約束を守ることに、すーっと気持ちが入っていかないから、モチベーション上がらず、努力できないのかな?

③心地良さ、幸福感 :約束の実施をブレイクダウンした内容に、今一つ、憂鬱な気分から脱することができず、進まないのかな?心地よく、実施する手順を組み立てていく計画が立っていないのではないでしょうか?

④報酬 :この約束を守る対価としてご本人の報酬が見合っていない、という思考が働いていないでしょうか?手っ取り早く言えば、「やるだけ損だよなー」または、「あえて時間を取って自分がやるべきか?」という損得勘定論理が原因ではないでしょうか?

⑤基礎技術 :「出来る技量を持ち合わせていないのに、こんなことをやらされるなんて」と感じているのではないでしょうか?または、「できるようになるまでの時間を与えられていないのに」という実施条件に無理があるからモチベーション上がらないのかな?

⑥プライベート :「とても公言はできませんが、とある理由があって、約束を守れないのです、それはプライベートな理由だからです。一刻も早く帰って子供のお迎えがあるのです、1分たりとも遅刻できないのです、常態業務以外の事が無理なんです」というような言えない事が、あるのかしら?

⑦活動目標、方向性 :ご本人の現在の担当分野の方向性が共感できないから、「今は量販する時期じゃないのに」「今は、もっと品質あげたほうがお客さんが納得するのに」など、心の叫びと異なるから、約束の実施にブレーキがかかっているのではないでしょうか?

⑧未来の繁栄 :ご本人が未来の繁栄する姿と、今の自分の状況がどうしても重ならず、イメージできず、頭脳も手が動かない、そんな状況なのかな?「俺の人生設計から言うと、こんなことやってる場合じゃないっすよー」が、本音だけど、さすがにそれは仕事上では言えないから、黙っているみたいだけど、しっかり態度に現れていますよー

これらは、人間が生きていくにあたって、いろいろな方面での悩みや幸福を実感する分類引出なのです。もっと細かく分けても構いませんが、理屈があれこれついて回り、利便性に欠けてしまいますので、8分類が妥当という結論に至りました。
(ご自身の悩みを分類するには、もっと細かくして分析しても構いません。ご自身が、感情の制御に困った際には、客観的にこの引出分類に振り分けてみると、ご自身が何にこだわっているか?明らかになってくることがあります。)

先の17回コンサルタントの眼で「苦手でもなんとかやり遂げたという意識がある人は、比較的粘り強さを発揮します、ただし、条件があります。」と記載しましたが、比較的粘り強さを持ち合わせながら、発揮できる場合と、出来ない=しない場合があるケースは、⑤基礎技術がポイントです。
高校数学までは、設問に対して必ず答えがご用意されています。そして試験の場合には、それを解く事が可能な時間が設定されているので、安心して取り組めるのです。しかしながら、業務になると、必ずしも設定時間内に解ける解がご用意されている訳ではありません。
比較的粘り強さを発揮できる場合には、正解があること、正解への道のりがうっすらでも見えていること、が条件なのです。暗中模索状態、突き放されているようにご本人が感じている場合、光の見えないトンネル内にいるのではないでしょうか?

「お約束を守らないお人」の原因をみつけたら、一旦、この引出に入れます。
それまでに、怒りが吹いて湧いてきたら、「うわー、私、見つけちゃったよ、原因。そんなこって、約束守れんのかい!」と、まず、怒っているご自身を認めてみます。たぶん、長く続きます、とりあえず、一旦ご自身の言い分を聞いてみましょう。長時間怒ると、すごく疲れてきます。次第に、どこかで客観視しているご自身が「怒るのは、無駄かも―」と小さな声で囁きはじめる???
さっきまで問題解決しようと格闘していたけど、ご自身の裁量外であることが見えてきたら、そしたら、「なんか、他人の事で私が疲れてきてないか?私のエネルギー、もったいなくないか?」と、感情を手放してみます。
ここで、 大事なのは、ご自身と比較しない事なのです。
「わたしはこんなに頑張っているのに!」とか「俺はちゃんと約束守っているんだぞ」とか、「そんなの約束守らない理由にならない!」「会社を何だと思っているんだ」「これで指示したつもりか?」とか、感情が竜巻のようにやってきたら、ちょいと待つのです。
まず一息、はーーっと深呼吸、そして色即是空、(キリスト教徒の方は、アーメン)合掌。
そして、さっきの 「お約束を守らないお人」の原因引出をそーっと閉めます。
そしてその時、「そうか、いろいろとご事情おありなのですね、うーむ」合掌。

それ以上の何か言葉を追加することは必要ありません、分析は憶測予測なのですし、それ以上の思索分析は我欲が絡まり、むしろ蛇足になってしまいます。感情や思索分析結果を相手にぶつけても、「守らない人には、守らない=守れない理由がある」のですから、現実は変わらないどころか、悪化する可能性の方が高いのです。
そして、同じような状況が再度発生した場合、引出の中に、同様に入れ込んでいきます。
あまりに繰り返しが多い場合に、また怒りが炸裂することもありましょうが、それより、ご自身の分析能力が高まったことの証拠なのですから、相手への怒りでなくて、ご自身の分析能力の向上を誉めてみましょう。「いやー、もう、即わかっちゃうんだよね、原因が。」(あくまで客観&感情解放)
さらに、引出にいくつか溜まってきて再現性が出てきたら、その方向性や条件がクリアになって自身の裁量で解決できることが出来そうなら、少しお約束の条件を歩み寄らせて、実現できそうな項目にして可能性を高めることができます。
でも、やりたくなかったら、やらなくてもいいです。無理して譲歩すると、反作用で感情がまた噴き出してしまい、やらなかった方が心が落ち着いててよかったと後悔してしまうからです、そう感じたら、やめておきましょう。

で、そうこうしているうちに、こうしていると、不思議なことに、引き出しの中で熟成するのか?発酵自浄するのか、ある時に自然に解消されていることに気が付くこともあるのです。
あれ? なんだか、今回は約束守ってきたようだ、なんでだ???
共振、みたいなものです。 ここで重要なのは、これが負の感情を持ち続けていると、幸せな共振は起こらないのです。

そして、さらに、先の引出に入れる際に、「こうなったらいいなー」というイメージをプラスしておくと、いつの間にか、こちらが持っている波動を相手がキャッチして、すーっと共振する瞬間があり、雲間から朝日が出るような感覚になることがあります。
ここで重要なのは、「こうなったらいいなー」という意図、意志 の存在です。
(株)アトリエ イシカワでは、これを波動的相互推進力 と呼んでいます。
全部明文化して説明しなくても、業務を成功させたいというベクトル、ゴールが共有できると、自然に流れが出てくることは、まるで奇跡だな!と、これまでのプロジェクトで実感してきました。
日本の製造業の成功例に関わった技術者の多くは、これを実感体験してきた方々です。
(株)アトリエ イシカワは、不思議とそういった技術者の方々とのご縁があって、ここまでやって来れておりますゆえ、本当に感謝いたしております。ありがとうございます。

でも、どうしても負の感情から逃れられない時もあります、
相手がエネルギーを吸い取るタイプの場合や魂のレベルで尊厳を傷付けられたら、物理的に逃げてください。物理的危害を加えられていなくても、ご自身の魂の安全を確保してください。

これらの方法は、あくまでも、ご自身の裁量外である場合、です。
職務管理者の場合には、対処を実施する責務がありますから、引出の中に入れっぱなしにしないでくださいね。入れっぱなしにすると、引出内で熟成でない発酵が進み、爆発しますよー。

という訳で、次回のコンサルタントの眼は、引出内での爆発を防ぐための「第19回 お約束を守らないお人への対応の詳細実践と過去の例-1(仮題)」を掲載します。(たぶん向日葵の種が実る頃)


2020/06/30


石川 恵美
    国内精密制御装置メーカ勤務後、1994年アトリエ イシカワを設立。
    専門は、半導体製造装置、検査装置、製造管理システム。
    アトリエ イシカワ代表取締役 装置プロデューサー/生産ラインコンサルタント

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