コンサルタントの眼
第11回「メンタル不調時、やってほしいこと-2」
~ 迷った時だけ、記録する ~
by 石川 恵美
メンタル不調だと、心の渇望を別の事で補おうとして、手近でお手軽なものでカバーしがち。
でも、深夜の暴飲暴食は、前述「第10回「メンタル不調時、まずやってほしいこと」」のように負のスパイラルへの滑り台なのです。
だからといって、そう簡単に食生活や生活リズムは変えられないですよね。
「夕食は21時までに、野菜から食べる、酵素の入った食品を多く、”マゴワヤサシイ”品目をとる、腹八分目までで」
これを毎日チェックシートにして記録していたら、ゲンナリします。だって、ほとんどできないから。
できていないことを記録するということは、悲しい気分になるので長続きしません。だから、
迷ったときだけ、その中身を記録するのです。
「よし!今日はちょっと早めに帰れそう。夜ごはん、どこにしよう?」
①ちょっと冒険だけど、野菜充実お店を開拓してみよう!このままじゃ、良くないから。
→ 上向き子
②あ、でも余裕がない、丼ものなら、ワンコイン+αで収まる。野菜も取れないけど、いいか…
→ 下向き子
自分の中の上向き子と下向き子のどっちが、どのくらい勝っているか?暫く、客観的に記録してみてください。
上向き子が勝っていたら、体調も上向いてくる。体調が整うと、考える時間が少し増え、少し違った角度から対処を検討することが自然にできるようになり、少し解決に近づいた感覚も戻ってきます。
さて、問題は、下向き子の勝率が高いことなのです。
この時、 「しょーがないじゃん」と思った?
ちょっと待ってください、記録を見直してみてください、意外な傾向3つあります。
傾向1:迷った内容は、繰り返されている
意外にも、同じ内容を繰り返していることが多いようです。(株)アトリエ イシカワの関係者のそれぞれの記録をパレート図にすると大体5項目で約80%以上占めていました。
例えば、こんな感じ。
「食生活の不足物を補いたかった、特に生野菜、せめて味噌汁、ホントは納豆」
「買い置きの野菜ジュース、切らしているけど、まぁいいか」
「帰宅時間を1時間早くしたかった、そうすれば21時台に夕食が終わったのに」
「就寝時間を30分早くしたかった、そうすれば5時間以上眠れたのに」
「丼もの○屋に3日連続で行ってしまった、炭水化物と脂質がとりすぎかも」
是非、集計してみてください。上位5つのうち、3つだけでも上向きになったら、かなり偉いかも。
傾向2:他の何かと重なった時に、多く発生している
そうです、出来ない理由は、何か他のことで急いでいた時など、他条件も重なっているようです。
「トラブル報告がきていたので、そっちを優先したので、帰りが遅くなった」
「レビューの準備を納得するまでやりたかったので、同僚と作業していた」
「レポートをわかりやすくしたほうがよいと、指摘されたので、作り直していた」
「明日までに質問回答を送信しておいた方が、みんなの作業がはかどるので、それを優先した」
「怒られて、反省、食べる気分になれなかった」
業務を優先しているのは、会社としては、ありがたいように見えますが、でも、せめて「睡眠時間が5時間以下の日が続いている時、トラブル調査は次の日にしよう」などのように、
負のサイクルにはまらないようにしてみてください。そして、それは、きちんと周囲に説明して、”有言実行”してください。
きっと協力者が集まります。
傾向3:納得できないストレスが発生した後、タイムラグがあって下向きになる
傾向2に該当しない場合、下向きになってきた時点からちょっと前を遡ってみてください。
何か、”納得できない”こと、ありませんでしたか?
理不尽なストレスがあった場合、それをどうとらえるべきか?よく考えたが着地点がみつからないなどで、タイムラグが発生するケースがあります。
優秀な人、責任感が強い人ほど、この傾向があり、時間たちすぎると自分で不調の原因がわからなくなります。
リーダーがこの傾向だと、部下としては「その時点ですぐに言ってくれた方がありがたい」という意見が多いです。
あなたは、「株式会社 自分」を経営している社長。
「迷った時」というのは、あなたの細胞(会社を支える社員)のHelpの叫びの時。
下向き子は、改善のタイミングを無視してしまう理不尽な管理職なのです。
細胞に良いことを実施できない理由がいろいろあるのは、分かります。
プロジェクトも現実的には、簡単に仕切りを変更することはできません。
何かを犠牲にしてでも、何かを成し遂げなくてはならない時期も、人生にはあります。
それらを踏まえた上で
「株式会社 自分」の社長として、細胞のHelpの叫びに耳を傾けてください。
でも、どういう時に、何を優先したらよいの? 自分勝手に思われない??? そう、心配ですよね、
なので、次回のコンサルタントの眼は、「第12回 "株式会社 自分"を成功させる組織構成」を掲載します。
2016/12/20
石川 恵美
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国内精密制御装置メーカ勤務後、1994年アトリエ イシカワを設立。
専門は、半導体製造装置、検査装置、製造管理システム。
アトリエ イシカワ代表取締役 装置プロデューサー/生産ラインコンサルタント